映画全体を独特の暗い雰囲気が包んでいます。そして所々に目に焼き付く印象的なシーンがちりばめられ、美しいです。
シーンの飛び方や妙な景色やセリフなどに幻想っぽさが漂っており、理屈でストーリーを追うことよりも幻想を共有するほうが楽しめる映画であると気付きます。
もちろん意図された効果ですが、そうでもない部分も大きいことがわかりました。
それは、スペイン映画人たちによるハリウッドぶりっこで生じた偶然です。
特典映像で「バルセロナをロスに見せるために細部にわたり苦労した」と言うとおり、スペイン人のスペインロケをアメリカ映画に見せかけるための工夫が随所に施されています。しかしはっきり言ってロスには見えません。スペインにも見えません。どこか訳の分からない夢の世界に見えます。
その効果は絶大で、世界設定の虚構性と染みついたスペインの芸術性が溶け合い、独自の映画世界を作り上げてしまっているのだと映像特典を見ながら納得していました。
2006.08.04
クリスチャン・ベールはこの映画の直後にバットマンになったりして、すっかり大スターになられましたね。おめでとうございます。
今からこの映画を見ると「あのクリスチャン・ベールが」という意識が働くと思うんですが、「誰か知らない不気味な変な人」だった本作の味わいがどう変わるのか変わらないのか、それは誰にも検証できない。
2010.12.22
“マシニスト” への2件の返信