パシフィック・リム

Pacific Rim
ギレルモ・デル・トロが積極的に関わったハリウッド製スーパー娯楽大作の怪獣対ロボの映画。こども漫画みたいな内容を思いっきりど派手に描き倒します。
パシフィック・リム

2013年の夏に公開された怪獣映画です。「カイジュウ」という日本語がそのまま使われます。

ギレルモ・デル・トロは怪獣モノが大好きで相当なマニアだそうです。「ゴジラ」「ウルトラQ」「ウルトラマン」「鉄人28号」なんかで育ったのだそうで、そういうあたりは私どもと同じ世代ですのでよくわかります。ギレルモ・デル・トロ師匠は1964年生まれですからね、ご同輩。

しかしまあ、この映画もとてつもない怪獣映画で、ただ単なる怪獣映画に巨額の予算をかけて作りきりました。娯楽大企業の力はもう普通の人の想像の外です。

何がすごいって、ストーリーの馬鹿馬鹿しさはそのままに、怪獣とロボとの戦いにだけ本気で取り組んだ変な変な映画なのでありますよ。普通の人間なら巨費を前に「もうちょっとちゃんとしたストーリーにしなければ」とか思ってしまうと思うんですが、師匠ったら、そんなことは気にもかけず、いや、余計な真面目さを取っ払い、敢えて「怪獣モノ」そのままの雰囲気で全編貫きました。

何が一番驚いたって、冒頭です。
怪獣とロボの戦いの映画と聞いて、どんな話かなーとぼんやり想像していたまさにそのお話を冒頭数分ですべて語りきります。
映画が始まって「えっ」とのけぞる我々。「そそそ、そういうお話をこれから見るんじゃないの?」と、冒頭のあらすじ紹介を見ながらあたふたします。
で、本編ではこれを踏まえてどのようなお話になるのかと思いきや、たいしたお話にはならないという。完全に予想を超えたストーリー展開です。
で、つまりどうでもいいんです。お話とかストーリーとか。

本編を覆い尽くすのは怪獣とロボとの戦いです。これでもかと繰り出すど派手な戦いです。町も壊しまくりです。ここ大事です。巨大ヒーローの戦いを見ながら「町を壊しまくってるやんけー」とつっこみを入れるのは昔から子供のお約束です。

華を添える二人のコミカルな博士コンビや事情を抱える上官、当てにならない政府、いろいろとお約束のキャラクターに満ちていますが、そういう約束事は簡素に描くに留め、その分他の部分に力を注ぎます。

とにかく怪獣が暴れ、ロボが戦います。

私はロボ系にはあまり思い入れがないので何も語れませんが、怪獣にはちょっとあります。怪獣大好きでしたから。だから怪獣のデザインには感心しました。ほんとに懐かしい感じで、よくまあ遠い異国の人達がああいった「わかってらっしゃる」デザインをできたものだと感心します。

それと、必要以上にCGに頼り切っていないところが、昔ながらの怪獣ものに徹底オマージュをささげた監督の意気込みを感じます。ちゃんとミニチュアの模型も大活躍です。

人間が乗り込んで同じ動きがロボに伝わるといえば「ジャンボーグA」なんかがありましたね。「パシフィック・リム」では複数人数で乗り込みお揃いの動きをしたりして、その馬鹿みたいな図にずっこけますが、そのずっこけ感がまた昔風なので嫌味がなくただただ面白く感じるだけです。

というわけで、大怪獣対ロボの壮絶な戦い、この映画を子供たちが観たらそれはもう大興奮だったことでしょう。

日本の娯楽作品っていうのは、すごく面白くて個性的な面を持っていました。怪獣モノもそうだし、スポコン漫画なんかもそうだし、他にもいろいろあります。
ただ、それを昇華させたり、世界に向けて自信たっぷりに示したりができなかったんですね。
「パシフィック・リム」は巨額予算すぎてちょっと違うかもしれませんが「少林サッカー」の時なんかも、悔しい思いをしたクリエーターたちがたくさんいたことでしょう。

とそんな感じで、怪獣で育った親と子(下手すれば孫)が同時に楽しめる超ど派手怪獣対ロボのアトラクションムービー「パシフィック・リム」でした。
これを見終わってぐったりしてしまうと老人、元気いっぱいで「次何観る何観る?」と張り切れるとまだまだ若いということですかのぅ。
というわけで我々はこれを見終わってすぐにもう一本別のを観ました。

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