少年お気に入りのテディベアに命が入り込んで喋り始めます。そしてそのまま少年は大人になり、大人になってもテディベアと一緒です。テディベアもおっさんになっており、屁理屈と饒舌、下品と悪趣味が同居する痛快お馬鹿映画に仕上がっております。
むさ苦しい熊のぬいぐるみの下品な振る舞いやおっさん同士の妙な友情が見どころで、年齢層高めにツボの映画パロディなども盛り込みます。
ぶっ飛びというほどの強烈な映画ではなく新鮮味という意味でも大したことないのですが、テディベアの味わいがとてもいいので、新鮮かどうかはどうでもいいことと思えます。
「チームアメリカ」や「ピラニア3DD」の超絶なぶっ飛びに比べたら予定調和的な終息を果たすごく普通の娯楽作品の展開になってまして、過度の期待は禁物です。わざとそういう普通っぽい部分も取り入れてヒットを狙ったのだろうと思われますのでこれはこれでいいのかもしれません。実際ヒットしましたし。
いろいろと面白いところもあるし、観てて楽しいし、映画評論家的なきびしい目で見ない限り誰でも楽しめると思います。若干の毒気やクセもあったりして、私もそこそこ楽しめました。笑えるところが何ヶ所もあります。
この映画の魅力はなんと言ってもテディベアのキャラクターに尽きるわけで、監督もノリノリで作ったことでしょう。この熊のぬいぐるみの声、これ監督自身が声をあてています。
監督が声をあてている、というか、この監督、セス・マクファーレンという方は映画監督と言うより、俳優で声の出演のほうがキャリアがあるくらいの人だったんですか。ちょっと見てみたら、脚本家のキャリアが一番多いみたいですね。脚本家で役者でプロデューサーです。長編映画の監督は「テッド」が初だったみたいですね。
目立つギャグシーンの中にはちょっと乗り切れない部分もありますが、さほど目立たない部分でそれとなく入り込んでいる細部のギャグシーンに面白さがたっぷり詰まってたりします。つまり上手い具合にいろんな層に受けるよう、いろんなタイプのギャグが上手に配置されているのですね。緻密さ綿密さを感じ取れます。ヒットメーカーさんたちの技術を垣間見れます。
「テッド」の面白さが好きで、もっとぶっ飛んだのはないかとお思いの方にはさっきも名前を出した「チームアメリカ」とか「ピラニア リターンズ」を強くお勧めしておきます。
素敵なヒロインはミラ・クニスです。「ブラック・スワン」のリリー役だった人ですね。いい感じです。
主演のマーク・ウォールバーグは、知らない人だなあと思ってたんですが「ハプニング」の人でしたか。なるほど、演技ひとつで雰囲気ががらりと変わりますね。
楽しい映画で、良いと思います。