監督、制作総指揮、脚本のマイケル・ギャラガーという人は他にいるマイケル・ギャラガーとは別人らしいです。
この青年が何物か知りませんが、頑張って「スマイリー」を作って、そんでもって、わりと話題になって大成功でしょうか。
内容はホラー系スリラーで、フリーのチャットにおける都市伝説を扱います。ま、しかし都市伝説と言ってもとても狭い範囲での都市伝説なのでほとんど学校の怖い話程度です。
主人公の女の子がスマイリー伝説の殺人をネット動画で見てしまってさあたいへん。作り物か?殺人か?あたし狂っちゃったのかしら?
と、まあそんな感じです。
インターネットとかチャットとかそういうのを扱った映画にあまり面白いのはありません。
ネット越しの付き合いなのにストーリー上会わなければならないのでついついご近所さんの集まりになってしまいまして、「なんだ結局ご近所さんの掲示板かよ」みたいな間抜けなことになります。
この「スマイリー」という映画はまあその、言い切ってしまえばあまり大したことのない映画です。ですがマイケル・ギャラガーが無名の新人ということであれば「頑張ったね!」って思います。
褒める時は無条件に、貶す時は慎重に。
ものすごく個性的なものがあるとすれば、この映画、とても変なんです。
まず気づくのが会話のだるさです。何かだらだらやってます。撮り方はセリフごとのカットの切り替えで、基本顔のアップの連続です。何かもうちょっと見せ方ないんかいというか、この撮り方、昔テレビでよく見た三文ドラマの撮り方ですね。
それから主人公の態度が変です。目を可愛く見せようとしてわけもなく見開いたりします。これはアイドルを撮る撮り方です。
それから細部のドラマがくだらないのですけど、例えば寝過ごして「あらこんな時間」と飛び起きて走って学校へ行ったりします。ちょっと行き過ぎてブレーキかけて戻って学内地図を見たりします。
この感じはいわゆるオタク系美少女アニメの典型的シーンではないでしょうか。
登場人物はインターネットの匿名チャットの仲間たちという設定で、聞くところによりますとアメリカでは匿名の掲示板などは面白くないので流行っていないそうなのですが、この映画ではまさに匿名掲示板のお友達の話です。匿名掲示板のお友達なのにいつもいつも会っています。ぜんぜん匿名じゃありません。
それから、登場人物の多くが、とても変な演技をします。どういう演技かというと、日本のコメディアンがハリウッド映画の物真似をする時と同じ演技です。印象としてのハリウッド映画の動きをなぞったような妙な演技です。黒人刑事とか特にひどくて見ていられません。
それから、大学生という設定の登場人物たちですが、高校生にしか見えません。
これら変なテイストを総合的に見ると、日本のオタクアニメとかドラマとかが大好きなアメリカ人監督による日本テイスト入れまくり映画という判断ができます。
観ている間は「この映画、日本人が作ったんじゃないの」と思えて仕方ありませんでした。
その解釈が正しいかどうかは知りませんが、妙なオタクオマージュの作品というのは誰しもが思うんじゃないでしょうか。
そこらへんが個性的と言えば個性的。と言っていいのかどうなのか。
いいところもありますよ。
中学生くらいの観客がこれを見たら学ぶべきことがあります。
例えばえーと、どこだったかな。忘れた。
思い出したら書きます。