イスタンブールの地図を見ているだけで、いかに東西文化の合流点であったかということが窺えます。あのあたりの地図を見ていると不思議な感覚に囚われます。ヨーロッパからアフリカ北西部、地中海周り、カスピ海周り、黒海周り、サウジアラビアの上、ごちゃごちゃしていて、歴史に揉まれて来た事柄が浮かび上がります。
黒海と地中海を繋げる運河には、かつて東西の船が行き来して貿易や殺戮やいろんなことが起きてきたことでしょう。
音楽的にも混ざり合っています。
アジアとヨーロッパが混ざり合いジプシーと信仰が混ざり合い、このあたりの音楽は本当に魅力的でです。
きっと街や人も魅力に溢れてるんでしょうねえ。
ノイバウテンのアレキサンダー・ハッケが語りながら登場します。この魅力溢れる街を、音楽を通して解明してやるなんて言ってます。そして、いろんなタイプのイスタンブールの音楽家を訪ね歩き、彼らの声と音楽を聴きます。
期待が膨らむ「クロッシング・ザ・ブリッジ」です。
でも結論から言うと「足りない!」です。そうです。音楽をもっと聴かせろ!って思います。それは、もっと聴きたいからです。いい音楽が途中で小さい音になってインタビューというか、ミュージシャンの語りが入ったりします。
この映画、決してイスタンブールのミュージックビデオ集ではありませんで、音楽を通して文化を紐解くことが大事なテーマです。
取り上げる音楽家たちも多く、すべての音楽をフルコーラスで堪能させてもらえるような尺ではありません。それはわかっていながら「もっと聴かせてー」と悶絶するんですねえ。わかってます。わかってますけど。
で、DVD版でそのあたりがいろいろ付録で補完されています。より楽しみたい人はDVD買うとか、あるいはサントラを買うとか、そういうのとセットで大満足できるのではないかと。
というわけで「クロッシング・ザ・ブリッジ」はすばらしい音楽と、イスタンブールについて語る音楽家たちの言葉、それを受け止めるドイツ人音楽家の旅の映画です。
入門編としてもとてもいいです。
この映画に出演した音楽家は以下の通り。
アレキサンダー・ハッケ(ノイバウテン)Alexander Hacke
ババズーラ BABA ZULA
オリエント・エクスプレッションズ Orient Expressions
デュマン DUMAN
レプリカス REPLIKAS
エルキン・コライ ERKIN KORAY
ジェザ CEZA
イスタンブール・スタイル・ブレイカーズ ISTANBUL STYLE BREAKERS
メルジャン・デデ MERCAN DEDE
セリム・セスレル SELIM SESLER
ブレンナ・マクリモン BRENNA MacCRIMMON
シヤシヤベンド SIYASIYABEND
アイヌール AYNUR
オルハン・ゲンジェバイ ORHAN GENCEBAY
ミュゼィイェン・セナール MUZEYYEN SENAR
セゼン・アクス SEZEN AKZU
詳しい情報は公式 Crossing The Bridge Sound of Istanbul にいろいろと。
イスタンブールが文化的にいかにユニークな土地であるかは地図を眺めているだけでも感じとることができます。
ファティ・アキンはドキュメンタリーも時々撮っていて、わりと最近、トルコの村の杜撰なゴミ処理場の映画「 トラブゾン狂騒曲 」というのをやっていたんですが見損ねてしまいまして。あれ是非観たいんですけどDVDになってくれるでしょうかどうでしょうか。
ついでに予告編をこっちにも貼っておきますね。どこかで上映会やるかDVDになって観て感想文書いたらそっちに移しますけど。